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繁盛奉行のお店訪問診断

Vol.1 入りやすいお店を作るには
Vol.2 新しいお客様を獲得するには
Vol.3 売上を確保するためには
Vol.4 店内ディスプレー・店舗の外観を整える
Vol.5 新規のお客様を取り込むために、何を扱うお店なのか明確にする
Vol.6 近隣の大型店舗との差別化を図るには
経営コンサルタント 橋本泉
中小企業診断士・1級販売士
大学卒業後、株式会社和光の紳士婦人用品売り場に勤務。平成9年にコンサルタントとして独立。小売店へのアドバイス、サービス業のマニュアル作りや研修など「勝ち残る企業」づくりの支援に従事。

Vol.4 店内ディスプレー・店舗の外観を整える

今回は、山梨県のアクセサリー店、『伽羅(きゃら)』さんにお伺いしました。JR甲府駅より歩いて10分〜15分、メインの商店街から一歩入った通りの角に立地しています。近くに県民文化ホールがあり、大きな催しがあるときは多くの人通りがあります。営業時間は12時〜20時、月曜定休です。店内は15坪弱、アクセサリー専門店として開店して以来26年目を迎えます。 お店を経営する佐々木 隆さん、ふじ代さんご夫妻は「程々の値段でより良い物」を心がけ、お客様に喜んで頂きたい一心で、激動の時代を頑張っていらっしゃいます。

具体的な現在のお悩み・チェックポイント
1)お店の外観の改善方法。
2)店内ディスプレーの改善方法。


今後の課題

店舗外観の改善

アクセサリーは甲府の地場産業ですが、伽羅さんでは、地元の製品ではなく、輸入品のアクセサリーを取り扱っています。他に、バック・帽子・シューズなどの服飾雑貨やランプなどのインテリア雑貨に加えて、数年前から40〜70才向けの婦人服も手がけています。 エントランスには、たくさんの植栽が置かれ、よく手入れされています。「店内でお買い物をなさるお客様から、外の現実の世界が見えないように」という、ふじ代さんの配慮です。店内側からの視界をさえぎるための工夫なのですが、外からはやや近寄りがたい印象になっています。地元の方からは「喫茶店のよう」と言われることもあるとか。 お店が備える大事な機能の1つが「宣伝訴求機能」です。主に看板と外観で表現されます。店前を通行したお客様が、ぱっとみて、何のお店かがすぐに分かり、興味をもって店に近寄りたくなるような仕掛けがあるかどうかです。伽羅さんの看板にあたるものは、白いオーニング(ひさし)に書かれた『アクセサリー伽羅』です。写真の左斜め先あたり、ゆるやかなカーブの先にある県民文化ホールに出入りするお客様に対して、もっと店の存在を知らせるために看板を増やします。店の角部分は最も目立ちますので、この部分の植栽を減らして、置看板を設置します。イーゼルに黒板を立てて、店名や手書きのメッセージを発信してもよいでしょう。文字が書かれていると、立ち止まるきっかけにもなります。あるいは、店の角部分のひさし下に吊り下げ式の看板を取り付けてもよいでしょう。大掛かりな改装になりますが、オーニング(ひさし)をショップのイメージカラーのものに架け替えるとさらに目立ちます。
店の入り口付近はお客様をお迎えする場所です。お店に対して興味をそそるような演出を施します。写真は伽羅さんではなく、参考例です。  店前が片付いていて、なおかつ商品をたくさん見せることに成功しているある店舗の例です。商品イメージを伝えるパネルをイーゼルに載せて見せています。大小2つのかごには、この店で扱っている独特の素材を用いた靴下をPOPとともに展示しています。店の中に入らなくても、商品に触れることができて、扱い商品の特徴がわかります。手書きのPOPは活字があふれる街中では、かえって新鮮であるため、次々とお客様が立ち止まります。もっとも、外に商品を出すと商品の汚損、盗難のリスクが高まりますから、扱い商品によっては、チラシや試供品を置くと安心です。ただし、左側のようにラックに服をつるすと、店格をそこなうことがあるので、注意します。

店舗側面にもある植栽が、「喫茶店のような」雰囲気を増長しています。それだけではなく、通行するお客様にご覧いただきたい商品が見づらくなっています。また、現状は展示されている商品が店内を向いています。しかし、せっかく大きなガラス面があるのですから、商品を外に向けて見せて、「宣伝訴求」機能を発揮させます。 ディスプレイされている商品は、遠くからも見栄えがするようにという配慮からか、大きな雑貨が中心です。アクセサリーがメインであるお店なのに、ここでも違和感があります。ただし、アクセサリーは小さいので、ガラス棚板の上に寝かせて置いただけでは目立ちません。アクリルや無地の板を利用して、立てて見せます。 外から商品を気軽にのぞきこめるようにすれば、何を売っているのか、店前を通行するお客様に随時知らせることができます。そして商品に興味を持ったお客様が「そこに飾ってある帽子が目にとまったのですが・・・」といいながら、入店するきっかけを作ることができます。顔なじみでもない個人経営の店に入っていくことは、こちらが思っている以上にお客様には勇気がいるようです。「入って何も買わずに出ていくのは抵抗があるから、入るのやーめた!」と思うお客様は多いものです。

さらに、業種名も改善余地があります。オーニング(ひさし)には『アクセサリー 伽羅』と書かれていますが、店の半分のスペースは婦人服が並んでいます。店の外からは、アクセサリー店だと思われ、婦人服があることが伝わりません。一方で、アクセサリー店だと思って入店したお客様は戸惑われます。伽羅さんの場合、現状では固定客が多いので、そうした戸惑いはほとんどないとのことです。が、今後新規客を誘導するのであれば、『ファッション&アクセサリー』といった風に、看板に書かれた業種と品揃えを一致させることが求められます。

今後の課題

店内ディスプレイ

入店したときに見える真正面の空間にたくさんのアクセサリーが見えていて、お客様の期待感を盛り上げます。しかし、お店を入ってすぐのところに、背が高いトルソが置かれていました。入り口付近に高いトルソや棚を置くと、入店客に圧迫感を与えてしまうので注意が必要です。加えて、それが服と帽子をつけたトルソです。アクセサリー店だと思って入店したのに、大きなトルソが目に入ってしまい、正直言って「あれ?」と思いました。
お店に入って真っ先に目が行く部分、つまり店の奥正面と入り口付近には、店のイメージを代表するような商品を置きます。伽羅さんの場合、トルソを横に異動し、正面のテーブルに大き目のアクセサリーを中心に服、ベルト、帽子、コサージュ、帽子などをトータルコーディネートして華やかに飾り立てると使用するイメージが伝わります。季節感も演出できます。
展示する際に、使用方法が単独では分かりにくい商品は、使用例を示します。写真は時計のベルト?ブレスレット??これはグローブクリップです。はずした手袋をなくさないようにバッグに止めておくアクセサリーです。このように示すと、すぐに使うイメージが伝わります。
全体的に商品量が非常に多い印象です。商品が豊富にあることは、お客様の期待感を盛り上げる反面、心理的な選びづらさにもつながります。また、物理的な圧迫感もあります。展示品を減らして、お客様との会話に合わせて在庫品を取り出して紹介するといった方法もありますが、ふじ代さんによると、こうした販売方法は、お客様によっては「商品を隠している」と思われるそうです。親切な接遇をしているつもりが、誤解されては残念です。そこで、伽羅さんでは、写真のように、ケースに入りきらない商品をトレーに載せて重ねて置く技を使っています。補充途中のように見えるので、新しく入ってきてまだ誰も見ていない新鮮なもののような印象です。あるいは、誰にも見せていない商品を自分だけが発見した楽しさを演出することもできます。「隠してある」と思われる心理を逆手にとるのです。ただし、多すぎる在庫は財務も圧迫しますから、テイスト、価格帯などを決めて、あらかじめ商品幅が広がらないように気をつけることも必要です。その際には、どのようなお客様に売るのかを明確にしておきます。「いい商品だから」と商品本位で仕入れてしまうと、結局誰にも売れないことになってしまいます。自店のコンセプトやお客様にふさわしい商品かを検討します。 ガラスケースの上にも商品が置かれていて、下のケースに入ったアクセサリーが見えづらくなっています。よく見ると価格もばらばらです。しかしこの商品の豊富さこそ、伽羅さんの特徴だと感じます。そこで、エレガント、エスニック、デザインなどのテイスト別にコーナーをつくると、見やすくなるでしょう。比較的安いものは、手前の棚に買いやすい価格の雑貨とともにディスプレイすれば、価格で選択するお客様への訴求力も高まります。
婦人服のコーナーは通路が狭く、通りづらそうで、奥まで見に行く気持ちになりません。伽羅さんの場合は、婦人服はフリーサイズのものを扱うようにして、サイズ揃えの負担を軽くしています。この点はいいですね。あとは、どのようなテイストの商品に絞り込むかです。実際に商品ごとの売れ行きを分析して、ほとんど動きが無いものは取り扱いをやめるという判断をすることも必要です。もっと厳しく絞り込むのであれば、2つの方向性が考えられます。1つは、アクセサリーが映えるようなシンプルな商品に特化する方法。もう1つはアクセサリーショップとしてのイメージを活かして、写真に写っているようなデコラティブな、「着るアクセサリー」として服を扱う方法。繁盛奉行は、「着るアクセサリー」の方向を提案します。シンプルな服は他店にもありますし、お客様もすでにお持ちでしょう。「伽羅さんに行けば、普通のファッション店にはない、変わったすてきな服が見つかる。さすがアクセサリーショップ!」とお客様に思っていただける仕入能力と販売力を感じました。ぜひともこの強みを活かして欲しいです。

商品の種類と量に圧倒されながら、珍しいデザインの商品を拝見したり、お話を伺ったりして、夢の館を訪れたようなひと時でした。精巧なつくりのきらびやかなアクセサリー、ため息がでるほどに美しいシフォンのスカーフなど、こだわって選びぬかれた商品に感嘆しておりました。繊細な装飾品は、大量生産品や有名ブランド品に押され、世界的につくり手が減ってきて、扱う業者も極端に少なく、仕入れが難しい状況だそうです。かつて銀座の専門店で婦人雑貨の販売をしていた繁盛奉行は、大きくうなづいておりました。それでも、佐々木さんご夫妻からは、「25年前の開店時は、こうした商品は甲府では売っていなかったけど、今は他でも扱う店が出てきました。東京も近いし・・・」といった言葉がため息のようにでてきました。もしかしたら、同じような商品は他にもあるかもしれません。しかし、佐々木さんご夫妻の目利きのセンスと愛にあふれる接遇は、他のどこにもない、ここだけのものです。お客様は、ここで買った品物を使うたびに、おふたりのことを思い出すに違いありません。これからもお体を大切に、楽しいお店を続けられてください。繁盛奉行も応援しています。


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