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繁盛奉行のお店訪問診断

Vol.1 入りやすいお店を作るには
Vol.2 新しいお客様を獲得するには
Vol.3 売上を確保するためには
Vol.4 店内ディスプレー・店舗の外観を整える
Vol.5 新規のお客様を取り込むために、何を扱うお店なのか明確にする
Vol.6 近隣の大型店舗との差別化を図るには
経営コンサルタント 橋本泉
中小企業診断士・1級販売士
大学卒業後、株式会社和光の紳士婦人用品売り場に勤務。平成9年にコンサルタントとして独立。小売店へのアドバイス、サービス業のマニュアル作りや研修など「勝ち残る企業」づくりの支援に従事。

Vol.2 新しいお客様を獲得するには

今回は、JR千葉駅から総武本線で30分ほど移動した八街駅から車で5分ほどのアロマテラピーサロン「ブループールハウス」さんをお尋ねしました。ブループールハウスさんは、2005年、つまり今年の2月にオープンしたばかりです。現在は部分的なオープンで営業をしながらグランドオープンに向けて準備をなさっている状況です。オーナーである藤平優美さんは、「お客様をお迎えするためには、あれもしなければ、これもしなければ」と思いがいろいろめぐっているようです。そこで、繁盛奉行に、「まずしなければいけないことは何か」を客観的な目で見てアドバイスをして欲しいとのご依頼です。

具体的な現在のお悩み・チェックポイント
お客様をお迎えするにあたってまずしなければいけないことは何か

エントランスに立つオーナーの藤平 優美(ふじひら ゆうみ)さんです。「お客様に喜んでもらえ、リラックスしていただけるサロンを目指したいと思います。お客様の喜ぶ顔が早く見たいです」とおっしゃっています。藤平さんの後ろにあるのは「滝」です。つまり、玄関ドアを開けた正面に何と「滝」が流れているのです。お店の入り口にこのような、ちょっとしたサプライズでお迎えするしくみがあると、その後のサービスにも期待が高まります。もっとも、この滝はご自宅を改装する時に優美さんの知らないうちに、優美さんの夫である勝彦さんが趣味でオーダーしてしまったものだそう。しかし、アロマテラピーサロンの入り口としては、癒しを求めた非日常の世界への第一歩を演出する役割を十分に果たしています。水が流れる音もすがすがしくて、癒されます。入り口にサプライズを演出する手法は業種を問わず活用できます。物販店であれば、店頭正面に話題の品、季節先取り商品を大量に展示したり、ファッション品やテーブルウエアをコーディネートして見せたりします。飲食店の入り口にテーブルを置いてメニューとともに食材やワインのボトルやコルクなどをあしらって演出してあるのもこの手法です。


Detail Check

玄関を進み、サロンがある部屋に向かう途中にあるコーナーです。数歩動く間に、滝とはまた雰囲気が変わって高級ホテルのアロマサロンに来ているような気分になる演出です。ホテルのサロン並みのサービスを誇る店のコンセプトがさりげなく伝わり、ますます期待が高まります。 このように自宅を改造してお店の営業を始める場合は多いと思います。そのとき、お客様をお迎えする空間には、生活感を醸し出すものが目に入らないように十分に注意します。
ブループールハウスの名の通り、広い庭には本当にプールがあります。周囲は緑が一杯、鳥のさえずりがここちよいBGMです。それだけですでに癒されます。このご自宅の一部がサロンになっています。 窓の外にはプールが見えて、高級リゾートホテルに来ているかのような気分になります。ただし、アルミのサッシは生活感そのままなので、カフェ風の折りたたみ式木枠扉をとりつけてはどうでしょうか。
清潔感のある台です。すでにサービスに必要な機材はそろい、あとはお客様をお迎えするだけ、といったふうに見受けます。アロマテラピーのサービス中は、カーテンを引いて暗くするとのこと。せっかく日当たりがよくプールが見えるお部屋なので、太陽の光を取り入れても気持ちよさそうです。そのカーテンが無地でややさびしい印象です。暗くしてお客様はうつぶせになってしまうので、見えないかもしれませんが、カーテンは面積が大きいだけにサロンの雰囲気を左右します。特徴的なデザインのタッセルを追加したり、窓の上部にボックスを取り付けると、欧米の邸宅風になります。傍らに見えているホットタオルの機械もやや興ざめです。しかし、これは必需品。手が届くところにおいておきたいものです。このように見せたくないものは、まとめてしまい、パーテーションで区切ってしまうのも手です。パーテーションの面を利用して雰囲気作りもできます。布や籐のパーテーションを使えばリゾート風です。背が高いグリーンを並べてもパーテーション代わりになります。椅子もやや無粋なデザインなので、お客様の目に見えないところにおいておき、お客様がうつぶせになったり、アイピローをあてて視界をさえぎってからおもむろに出してきて、座るようにするとよいでしょう。
   
吹き出し口から風が入るため、夏以外はふさいでいるとのこと。絵やタペストリーを飾って見えなくしましょう。同様に、壁にしみがあったり、壁が少し落ちたりしているような場合もさりげなく隠します。長年、住んでいる家ですと、目が慣れて、店側からすると気にならない傷でも、お客様は意外と見ているものです。
自宅を店舗にしたときに、生活観が最後まで残ってしまうのは照明です。ここでは、リビング風の蛍光灯にオーガンジーの布をあしらってリゾート風に見せています。これは勝彦さんが工夫されたことです。どなたにもすぐに真似できる技ですね。ただし、電灯の熱がこもらないように注意しましょう。
勝彦さん手作りの展示棚です。かつてここは出入り口で、引き戸がありました。引き戸の厚みを利用して蛍光灯を埋め込み、アクリル板を表に張ってそこに棚板を取り付けています。左上のスイッチが見えているのが残念です。中央の目立つ部分には、桜の花びら型のジェムジェリーを貼ってさりげなく季節感を出しています。ジェムジェリーは輸入雑貨店でも売っています。手軽に季節感を演出できる小物として活用価値大です。棚を手作りする場合は特に棚板の耐重量を考慮しましょう。商品が落下しないように、十分な棚幅を確保することも大切です。1つのブロックは奇数の商品でまとめられており、左右対称で端正な印象です。左下から2段目のように、置きたいものが複数になる場合は、同種類のものを寄せて感覚を狭くし、遠めに見たシルエットが奇数になるようにします。同じ棚板上のものの高さがそろっていることもきれいに見える理由です。同じ高さの商品を並べ、装飾のための花や小物もできるだけ同じ高さにすると、すっきりきれいに見えます。照明は棚の裏側からに加えて左右にスポットライトを取り付けて、棚板の上の商品に十分光が当たるように工夫しています。
   
春らしいピンクの花をところどころに配して、POPもピンク色に揃えています。ご紹介キャンペーン用のミニタオルとクリスタルパックはラクーンを利用してご購入いただきました。ありがとうございます。きれいにラッピングしていただいて、こちらまでうれしくなります。
優美さんのアロマテラピーへの思いと勝彦さんのご協力が実って、ここまで作り上げたことが感じられる素敵なサロンです。多くのお客様がここを訪れて、ゆったり豊かな気分になっていただきたいと繁盛奉行も思います。そのためには、今、何をすべきでしょうか、考えました。

今度の課題

1) 営業日時を決めること

お店として営業するのであれば、営業時間と営業日を明確にします。そうしないとお客様への告知ができません。ところが、一人でお店をしていると、営業時間中は身動きが取れなくなりますから、急な用事に対応できない不便があります。サロンの業態だと、予約が入った日をとりあえずの営業日にしようとか、不定休にしておこうとか考えがちです。しかし、お客様あってのお店です。お客様を最優先にする覚悟を決めて、営業する日と時間を決めるべきです。ビジネス街の立地であれば日曜祝祭日定休でもよいですが、逆にターミナル駅に近い立地ならば週末の方が人出の期待ができます。営業時間も店舗周辺の立地が昼型か夜型かによって合わせていく必要もあります。もちろん、用事が入ったときには、早めに告知をして臨時休業にして対応するようにします。

2) 価格政策を決め、料金表をつくること
物販店であれば仕入れ価格との関連で上代価格をつけやすいですが、サービスが主体となると、どの程度の価格が受け入れられるのか悩みます。自分が希望する価格と世間の相場、周囲の店の相場などを比較してみましょう。
ブループールハウスさんの場合は、「ちょっとしたうれしさを大切にしたい」との思いを大切にして価格を決めています。つまり、やや高め価格設定にして、そこから割り引きをしたり、追加のサービスをしてさしあげることで、「この価格でここまでやってもらえるなんてうれしい!」と喜んでいただきたいとのこと。(ただし、高めとはおっしゃいますが、同様のサービスを都内の一流ホテル内のサロンで受けると3倍近い値段なのだとか。)ところで、写真の石は何だと思われますか?これはホットストーンといってハワイの火山の溶岩(玄武岩)です。これを温めて背中に乗せたり、手の平に握ったりすると、その熱と適度な重みで癒されるんです。何とこれをサービスでしてくださいます。 初回来店のハードルを低くしたいとお考えならば、サービスを細かく分けてカフェテリア式に選べるようにする方法もあります。アロマテラピーの場合は、同じサービスを時間で区切り、30分コースでいくら、60分でいくらというようにそれぞれ価格をつけます。体の部分で区切ってもいいですね。半身、全身、頭、肩と手、足うら・・・と細分化します。レストランのアラカルトメニューを作る感じです。アルカルトがあるならば、高い頻度でオーダーがあるパターンを組み合わせて、コースメニューを作れば、お得感を出すこともできます。「考え事が多かったあなたに・・・上半身(通常価格5000円)+スカルプ(頭)(通常3000円)をセットで週末ケア7500円コース」といった提案をします。先ほどのホットストーンの場合も、都内のサロンを繁盛奉行が調査したところ、2000円から8000円程度でオプションとして施術してくれるところがあります。何も言わないでサービスしてしまうのはちょっともったいないので、これも料金表に載せておき、それをサービスで受けられればうれしさ倍増です。
3) 集客する

とにかく店の存在を知ってもらいたいのであれば、最寄り駅にポスターを貼る、タウン誌に広告を出す、地域の生活密着型サイトに広告を出すといったことが考えられます。しかし、広告だとお金がかかります。そこで、タウン誌やサイトに取材してもらうという手もあります。タウン誌やサイトを製作している会社を訪ねて、挨拶をし、取材をお願いするのです。今回のように一人でサービスを行う労働集約的な業態の場合は、一度に多くのお客様がお見えになっても対応に限りがあります。うれしい悲鳴とはいえ、お客様が大勢見えても、対応できなければ期待に添えないことにもなってしまいます。対象となる顧客を明確にして程よく集客することも大切です。対象とする顧客に確実に情報を届けたいのであれば、想定した対象顧客が立ち寄りそうな店にチラシを置いてもらう方法があります。美容院や雑貨店、カフェやレストランのレジ脇にチラシを置いてもらえるように働きかけてみます。地域で長年生活していれば、人間関係ができている場合が多いですが、出店を機にご縁ができた地域だとしたら、知り合いそのものも少ないでしょう。そのような場合は、対象顧客が立ち寄りそうな店の店長にご挨拶に伺いましょう。営業内容を説明することはもちろん、可能であればスタッフの人数分、サービスの割引券をお渡しして来店を促します。協力してくださりそうなお店であれば、チラシ置き代として1回無料ご招待をして、サービスを体験していただきます。しかし、チェーン店の場合、他店のチラシを置くことが本部方針により不可である場合も覚悟します。その場合は、理解ありそうな方に割引券やサービス券を渡し、サービスを体験してもらって口コミをしてもらいます。

自然に囲まれたプールが見えるサロンは本当に居心地がよく、つい長居をしてしまいました。優美さんはその名の通り、美しくやさしい方で、お話しするだけでも癒されます。取材の日は、ちょうど会社がお休みでいらっしゃった夫の勝彦さんも同席されました。店内随所に勝彦さんが手作りで工夫された仕掛けが多くありました。一生懸命な優美さんを勝彦さんがやさしく見守っている姿も印象的でした。優美さんはこれから出会うお客様に思いをはせて、「どうしたらたくさんのお客様と出会えるか、どうすれば喜んでもらえるか」を真剣に考えていらっしゃいます。今回の取材が少しでもお役に立てば幸いです。今度は繁盛奉行もアロマテラピーをしていただきに伺いたいです!


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